冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




“斗真くん”と親しそうに呼ぶ女の子の声に、私が大好きだった優しい声。



知ってる、全部。



声をした方を向けば、ちょうど相手も同じタイミングでこちらを向いて。



視線が交わった時、周りの音が全て消えた気がした。



ああ、斗真だと。
すぐにわかった。



まだ最後に斗真を見てから半年も経っていなかったけど、ずっと大人びたような気がした。



夏用のジャージには、強豪で有名な私立高校の名前が刺繍されていて、肩にはスポーツバックがかけられていた。



わかっていたけど、斗真はバスケを続けていた。



「……斗真くん、どうしたの?
急に立ち止まって」



斗真の隣にいるのは、目がくりっとしていて可愛らしい女の子だった。



私と真逆のような可愛い女の子だ。
きっと斗真の新しい恋人なんだろうな。