ーーーそれからしばらくの間、中学の話をしていた。
バスケの話はあまりしなかったけど、懐かしい中学時代を思い出すことができた。
今まで、バスケという過去に囚われていたから思い出せなかった、楽しかった日々。
その記憶が蘇ってきて、辛いだけの過去じゃなかったんだと思えた。
「今日はありがとね」
まだ外は明るかったけど、楠木が帰ることになった。
一度キスをされてからは特に何もなく、楠木と話をするのは少しだけ楽しかったかもしれない。
「…別に、お礼言われることでもねぇし」
「ううん、本当に助けられたの」
今なら自然と笑うことができた。
そしたら楠木に微笑み返される。
優しい笑みだった。



