「……別に、ゆっくりでいいと思うけど」 さっきまで強引で意地悪だった楠木が、急に優しくなるものだから反応に困る。 でも、今の言葉の意味は伝わった。 だから心が少し軽くなる。 そうだ、何も焦るつもりはない。 今はまだ、過去のバスケに囚われたままだけど……ゆっくりと抜け出せるように、少しずつでもいいから前向きに頑張ろうと思った。 いや、違う。 楠木のおかげで、そう思えることができたんだ。