冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




熱が帯び、顔の温度が上昇する。
絶対顔が真っ赤だ。



「……あんま、可愛い顔されると困るんだけど」



いつもより少し余裕のない楠木の表情が、視界に映った。



「そんなつもりない、から…」
「じゃあ尚更危ねぇな」



いつもなら危険を感じて俯いたりするのに、今はそれができない。



それぐらい、明らかに今の自分がおかしかった。



視線をそらすのがやっとで、それ以上動くことができなかった。



「……田城」



そんな状態の中で名前を呼ばれてしまう。



「な、なに…」
「……ふっ、すっげぇ不自然だけど」



楠木に笑われてしまい、余計に恥ずかしさが増してしまったのは言うまでもない。



「ぜ、全部あんたのせい…!」



恥ずかしさを隠すようにして楠木を睨むけど、全く効果なんてない。