冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「正直、あの時は辞めたくても先生が辞めさせてくれなくて無理矢理やってたんだよ、バスケ。


なのに見本やらされて、同じチームの奴らには冷たい目向けられてたら、お前が騒ぎ出したんだ。


キラキラした目しながら」



その時のことを思い出したのだろうか。
楠木がふっと優しく微笑む。



うん、覚えてるよ。



「だって、本当にすごかったから…」



「俺はお前の方がすごいと思った。


バスケが好きっていう気持ちが全面的に溢れてて、練習も楽しそうにしてたし。


バスケが好きだって気持ちも、俺は忘れてたんだよな」



まさか楠木に、私がすごいって言われる日が来るなんて。



「なんかそれ見てたら元気出て、やっぱりバスケ好きだなって思ったから中学でも続けたんだ。


中学でもお前、一生懸命で努力家で。
お前見てたら自分も頑張ろうって思えたんだよな」



恥ずかしいような、だけど何故か泣きそうになる。