冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「最初の方は無視されるくらいだったけど、バスケのパス相手も嫌がられたし、試合中ですらパス貰えなくて、先生はそれで周り怒るけど逆効果。


だんだんそのチームにいるのが辛くなってきて、バスケ自体嫌いになりかけてたんだよな」



苦笑する楠木を見て、胸が痛くなる。



ああ、私は彼のこと何一つわかってなかったんだって思い知らされた。



「そんな時に、他の小学校との合同練習があったんだよな」



ドキッとした。
もしかして、あの時のことじゃないかって。



ふと、楠木がこちらを向いた。



「覚えてるか?」



やっぱりあの時のことだと確信する。
私は素直に頷いた。



覚えてるもなにも、初めて楠木を見た時で、今でもずっと印象に残ってる。