冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「他に目的があったとしても、絶対楠木は強いところに行くべきだった。


そしたら今頃、もっと上手くなって注目されて、上目指せたと思う」



ただでさえ中学の時から注目されてたというのに。



もし楠木が推薦を受けてたら、羨ましくもあり、尊敬したままでいられたのに。



そうすれば、嫉妬で楠木のことを嫌いにならずに。



そんな自分が醜くて、嫌いで、自己嫌悪に陥らずに済んだかもしれないのに。



なんてこれも全部自分勝手な想像だ。



また、沈黙が流れる。
ああ嫌だな、こんな自分が。



いっそのこと消えてしまいたい。
ダメだとわかっていても、泣きそうになってしまう。



「あのさ」



その時、タイミングよくまた楠木が口を開いた。



「俺、実は中学でもバスケ続けるつもりなかったんだよな」



「え…?」



今、楠木はなんて言った?



あまりに衝撃的すぎて、思わず楠木の方を見てしまう。