冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「じゃあ、聞くけど…もうバスケはいいのか?」
「……え?」



楠木の言葉に、一瞬理解が遅れてしまう。



バスケはもういいって?
そんなの、答えは一つしかない。



「そりゃ、ね…途中で辞めた人間だし…」



ああ、ダメだ。



楠木の真っ直ぐな視線から逃げくて、どうしても見つめ返すことができない。



「楠木の方こそ、もういいの?
あんたがバスケやらないなんて、本当もったいない」



この間楠木の部屋に行った時。
バスケットボールがまだあった。



バスケを嫌いになったわけじゃなさそうだったし。



「このまま始めたところで意味ねぇよ」
「意味ないって、どうして決めつけるの?」



「目的が他にあるから」



この間も、そんなこと言ってたけど、楠木は何を考えているんだろう。



何のためにこの高校に来たの?
考えたところでわかるわけない。