やっと静かになり、いつも通りの部屋になる。
さっきまで楠木がいたことがまるで夢のようだ。



というか、いつから楠木は私の部屋にいたの?



とりあえず寝顔を見られたのは確定だ。
考えただけでも恥ずかしくて、顔が熱くなる。



それをかき消すように私は布団から出て、着替えた。



着替え終わると一階に行く。
するとリビングからは話し声が聞こえてきた。



きっとお母さんと楠木の会話だ。



少しだけ、帰ってくれてないかなって期待していたのだけど、どうやらまだいるらしい。



「いやぁ、驚いたわぁ。
あの楠木くんと、まさか付き合ってるだなんて…!


バスケも上手いしイケメンさんだし、文句のつけようがないわね!


すごいわぁ、背もさらに伸びて大人びてるし、もうすっごいイケメン!」



………うん、ごめん楠木。



どうやらお母さんが一方的に話しかけているようで、なぜかお気の毒になった。



もともと饒舌なのだ、許してあげてほしい。