そしたら突然楠木に顔を包むようにして両手を添えられ、額を合わせられる。
「やっと、これで俺のもんだ」
その声は嬉しそうだったから、それほど彼女がほしかったのかと驚きしかない。
私を選んだのは、中学から一緒だから?
だとしても強引すぎる。
それとも欲求不満か。
「こんなやり方で、絶対長く続かないと思うんだけど」
「そんなの俺がお前落とせばいいんだろ」
「誰があんたなんかに落ちるもんか。
なんで私選んだのよ……」
今更何を言っても遅いため、文句だけぶつぶつと言ってやる。
これで嫌いになってくれればいいのに、と思うけどそう上手くいかない。
「お前じゃねぇと無理って言ってんのに、どんだけ疑い深いんだよ」
「逆になんでこんな嫌い嫌い言ってるやつのこと好きになるわけ?」
だから結局は嫌いだと言い張る女気にくわないだけでしょ。