「……はっ…はぁ…くす、き…」
そして、やっと離されたのはいいものの、声もまともに出せないくらい乱れる息。
思わずぎゅっと、楠木のシャツを掴む。
「…まじでそろそろ限界」
「へ…?」
「理性、飛びそう。
歯止め利かなくなるんだけど」
その表情は真剣で、真っ直ぐ見つめられるけど、涙目の私は少し視界が歪んでいた。
また一つ、ボタンを外される。
このままじゃ好き放題されるだけ。
「ねぇ、わかったから…!」
息を整える暇もなく、楠木に訴えかける。
「あんたと、付き合えばいいんでしょ…!?」
最後はほぼ投げやりだったけど、それで楠木の手の動きはピタリと止まった。
「もう一回」
「……は…?」
もう一回?
なんで二回も言わなきゃいけないんだ、と思いつつ、わたしはもう一度口を開く。
今度はさっきよりもはっきりと。
「あんたと、付き合うって言ってんの…!」
もちろん投げやりなのは変わらなかったけど、ここまでくれば降参だ。