楠木が私を覆うようにして、正面から向かい合ってきた。
「……離れて」
距離が一気に近くなり、恥ずかしくて俯く私の頬に楠木は触れる。
「なんで照れてんだよ」
「距離が近いから…」
「俺のこと嫌いなはずなのにおかしいな」
ふっと、小さく笑った楠木は、私の頬から顎に手を移して持ち上げる。
視界いっぱいに広がるのは、色っぽく笑う楠木の姿。
ああ、確かに危険だ。
部屋で楠木と二人きりが、こんなにも危険だったなんて。
これは最大の過ちかもしれない。
そう、楠木の言う通り手遅れかも……。
「ねぇ、本当に」
離れて。
そう言い終わる前に、楠木に唇を塞がれてしまった。
やっぱりどこまでも強引だ。
私の言葉を聞こうとしない。



