「お前本当にもったいねぇよ。
絶対推薦とかいっぱいきてただろ?


県で一番の強豪校からも推薦きてたって噂で聞いたんだけど、本当なのか?」



「……別に言ったところで誰も得しないんで」



「秀哉、考え直してくれ。
また来るから。


お前はバスケを続けるべきなんだ。


お前からしたら弱いと思うだろうけど俺たちは一勝でも多く勝つために必死なんだ」



先輩は力強く言い、教室を後にした。



静になっていた教室が、またざわざわと騒がしくなる。



それでも楠木は冷静だった。



あんなにも先輩は、バスケ部は楠木を必要としてるのに。



それはこの高校のバスケ部だけじゃない。
多くの強豪校が、楠木を欲しがっていた。