冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




私はもう、バスケットボールは押入れの中にしまってあるけど、捨てられないのはきっとまだ切ることができないから。



私から、バスケというものを捨てきれない。
心残りなのだ。



だけどバスケットボールに触れる勇気はなく、押入れにしまうという一番中途半端なことをしている。



でも、楠木はこうして堂々と並べて置いてある。
それも二つ。



その理由は簡単だ。



一つは何度も使われている古いもので、もう一つは新品に近いもの。



その差は一目瞭然。
つまり、綺麗な方は…最近買ったものだろう。



最近と言ってもここ半年ぐらいだろうけど、それは間違いない。



どうして?



バスケを続ける必要がないなら、こうやって新しいものを買う必要すらないというのに…。



『今はバスケやるつもりないんで』
『今はって…もう一生続けるつもりないだろ?』



『それはわからないですけど、今バスケしたらこの高校に来た意味がなくなるんで』



ふと脳裏によぎる、過去の記憶。
バスケ部に勧誘していた先輩と楠木との会話。



今思い返せば不自然だ。