冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「つ、疲れた……」



電車に乗ってようやく一息つくことができた。



電車は比較的空いていたため、座ることができ、楠木と並んで座った。



「買い物しただけなのにか?」
「あんたのせいよ…!」



駅に着くまでずっと握られていた手のせいで、どれほどの視線を感じたものか。



その視線には羨望や、嫉妬などの色々な感情が含まれていて、私にしたらもううんざりだ。



それからも電車に揺られていると、だんだんと眠気がやってきた私。



「…寝れば?」
「んー……」



「眠いんだろ?」
「……起こしてくれる?」



「ああ、起こすから」



少し重い瞼で楠木を見れば、優しく微笑んで肯定してくれた。



それに安心してさらに眠くなった私は、完全に気が抜け、楠木の方へ傾きながら眠ってしまった。