「あれは美味しかった。
作ってくれてありがとうな」
そんなストレートにお礼を言われると、照れくさくて反応に困る。
「お礼、だから…私の方こそありがとう」
もしあの時、楠木がいなくて一人で電車に乗っていたら。
私はどうなってた?
今以上に過去に囚われてて、しばらくは立ち直れてないと思う。
それに今だってまだ引きずってるから。
「別にお礼言われるほどのことじゃねぇけど」
それでも楠木はわかってない。
私があの時どれだけ救われたかってことを。
多分根は優しいやつなんだろうなって思いつつ、またメニューに視線を戻す。
「んー……どうしよう」
それにしても、私の大好きなイチゴチョコのスイーツがいくつかあって悩んでしまう。



