冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「うわぁ…すごい…!
ねぇ見て見て、これ美味しそう…!」



最初こそ嫌だったのだけど、席に座ってメニュー表を見た瞬間、その気持ちは見事に消え去ってしまった。



写真付きのスイーツがどれも美味しそうで、思わず楠木に見せてしまう。



「甘いの、好きなんだな」
「もちろん大好、き……」



そしてようやく我に返る私。
何子供みたいにはしゃいじゃってんだ…!



一気に顔が熱くなる。



楠木を見れば、目を細めて優しい眼差しを私に向けていた。



「そっか」
「……っ、く、楠木は甘いのどうなの…?」



慌てて話題を変えるも、顔の温度は一向に下がらない。



「どっちかって言うと苦手だな」



「そうなの…?じゃあこの間のお菓子、大丈夫だった?」



この間のお菓子って言っても、夏休み前のことだから結構前なのだけど。



しかも楠木が食べた前提で話してしまったし、恥ずかしい。