「そういうのいいから!
終わったなら早く帰るよ!」
今この瞬間も、周りからの視線はすごい。
さっきまで全く視線を感じなかったというのに。
「待て」
なのに楠木は私のことを呼び止めてきた。
「まだ何かあるの?」
「お前、ここ行きてぇんだろ?」
その言葉にピクッと反応してしまう私。
「別に行きたくない」
「へぇ、さっきあんな目輝かせて見てたのに?」
「なっ…!見てたの!?」
最悪だ
どうしてそれに気づかなかったんだ私は。
「行くか」
「ちょ、待ってよ!
あんたなんかと行きたくない…!」
「俺はお前と行きたいからいいだろ」
「何それ、自分勝手!」
それでも拒否し続けなかったのは、行きたい気持ちが勝ってしまったから。
全部楠木の思い通りってわかっていても、甘いスイーツの誘惑には勝てない。



