『残念ですが、引退試合に出ることは諦めてください』
病院のベッドの上で、医師から受けた言葉はあまりにも残酷なものだった。
それは中学三年の、引退試合の一ヶ月前のこと。
青信号を守って渡った私に、信号無視をしたバイクが衝突してきた。
それは全てが終わる合図だった。
幸い、命に別状はなかったけど、次に目が覚めた時右足が全く動かなかった感覚を今でも覚えている。
複雑骨折だった。
全身麻酔で手術をした私は、もう右足が全く動かなくて。
どうあがいても、引退試合には確実に間に合わなかった。
小学校の時からずっと続けていたバスケ。
その積み重ねが一瞬で壊れることになる。



