「…ああ、あと二回くらいだな」
「じゃあ何日にしよっか?」
「いや、その前にお前この後時間あるか?」
「え…?」
突然質問返しされたかと思えば、内容は全然違うものだったから戸惑ってしまう私。
「な、なんで…?」
これは、デートの誘いとか?
ううん、違うと思う。
「買い出し。
材料が全然足りねぇ」
一瞬にして自分の考えが恥ずかしくなった。
何がデートの誘いだ。
少しでもそう考えてしまった自分が恥ずかしくてたまらなくなる。
「確かに足りないね…!
いけるよ、今日!」
「…顔赤いけど、熱でもあんのか?」
「ない!暑いだけ!」
暑いと言いながら、この教室はクーラーが効いている。
苦し紛れの嘘だったけど、楠木がそれ以上追求してくることはなかった。



