「どうしたんだ?」
「……」



「田城?」



楠木が私の名前を呼んだ後に、意を決してお菓子を渡す。



「金曜日は助けてくれてありがとう…!
勘違いはしないでよね!」



素直になれない私は、どうしても余計なことを言ってしまう。



少しの間沈黙が流れ、教室も静かになり、視線すら感じた。



早く受け取れと心の中で唱えていると、ようやく楠木がお菓子に手を伸ばし、受け取った。



「……別にここまでしなくても良かったのに」
「なっ…あんたってやつは…!」



せっかく意を決して渡したというのに、その反応は何!?



そう思い、こっちも言い返してやろうと思ったその瞬間。



「でも…ありがとうな。
お前からもらえて嬉しい」



楠木が、あのどこか幼い笑顔をふわりと浮かべた。