冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「俺がキスしても平気だよな?」
「……っ」



また、恥ずかしい感情が戻ってくる。



「そ、そういうことじゃなくて…あの、付き合ってない人となんか…」



「でもただのキスは平気って言ってただろ?
なんとも思ってねぇわけだ」



「そんなのずるい…!」
「……知ってる」



楠木はそう言って笑う。
その笑みはどこか色っぽく、胸が高鳴る私。



今の言い方も、その表情も。
全部全部、ずるすぎる。



楠木が少し顔をずらし、私に近づく。



もう私には何もできない。



ここまできたら終わりだった。
それなら恥ずかしさを隠すために目をぎゅっと閉じる。



これじゃあ金曜の教室みたいに受け入れてるのも同然だとわかっているのに……。



熱くなる顔が、全身が、思考回路を鈍くさせる。



そして今日もまた、楠木にキスをされてしまった。