冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




楠木は人差し指を立て、“静かに”と合図しながら同じようにして私の近くで座った。



「まさか楠木が付き合うなんてな!」
「女嫌いだと思ってたのに」



ドキリとした。
それは楠木と私に関する内容だったから。



少しだけ覗いてみると、同じ一年で他クラスの男子数人だった。



もうこんなところにまで広まっているなんて…と思っていたら、そのうちの一人がこちらを向く動作をした。



驚いた私は慌てて身を隠そうと、楠木の方へと寄る。



「ん?どうしたんだ?」
「いや、視線感じたなって」
「何それ怖いな!」



男子たちはまた大きな声で笑いながら足を進め、結局バレずに済んだ。



安心しながら楠木をチラッと見ると、また距離が近いことに気づく。



しかも今回も私から近づきにいったようなものだ。
本当にタイミングが悪い。