ーーー次の日



いつもの時間に起き、家を出る。



いつもと違うのは、鞄にお菓子を忍ばせているくらい。



いや、あのさ、普通に考えてどう渡せばいいの!?



後から考えると、改めて勢いだけで作ったのだと思い知らされる。



ため息をつきながら電車に乗るけど、慌てて車両を見渡す。



それは楠木がいないかどうか、だ。



いたら嫌だったから、いないのを確認すると安心してほっと胸をなでおろす。



そういえば、昨日電車で私は…楠木に抱きしめられたのだ。



なんて大胆なことをされたのだろう。
周りからすればうざいリア充同然だ。



だけど救われたのもまた事実で。



中学の時、楠木は私のことをどう思っていたのかとふと気になった。



辞めた人間に対して、昨日みたいに優しくしてくれるなんて不思議で仕方がない……っていうか、何私楠木のことばっか考えてんだ…!?



我に返り、一人電車の中で恥ずかしくなる。



慌てて楠木のことを考えるのをやめ、切り替えようと思った。