君のおかげで、今、ここにいる



文化祭当日、登校の時から、既にみんな盛り上がっていた。
 

文化祭は九時から始まり、ピアノのコンクールは、ちょっと暗くなる五時ごろ。
 

リハーサルが十時くらいにあるが、それまでは教室の準備を、引き続き手伝うことにした。
 

「あ、空川!」
 

教室に入ると、三人の中で、唯一水田だけが、準備を手伝っていた。
 

「おはよう。他の二人は?」
 
「伊藤は、絵の最終確認で、黒西は吹奏楽のリハーサル」
 

そういえば、黒西の吹奏楽は、昼から始まって、四時ごろまでずっとやるって言ってたし、大変なんだろう。
 

「僕も、ちょっと準備したら、すぐに部活に戻るよ」
 
「そっか」
 

俺が曖昧に返事をすると、水田は微笑みながら首を傾げた。
 

「緊張してる?コンクール」
 
「…うん」
 

緊張している、というのももちろんある。初めての連弾だし、パートナーは向日葵だ。
 

でもそれ以上に、向日葵がちゃんと、ピアノを弾けるかどうかが不安だった。
 

「大丈夫だよ。見に行くから、頑張ってね」
 

余計な言葉はかけずに、水田はただそう言ってくれた。俺は、黙って頷く。
 

「まもなく、桜木高校、文化祭を開催いたします!」
 

外から、そんな張りのある、アナウンスの声が聞こえてきた。