『好き』があれば




月曜日
 

俺は、授業が終わると、速攻で教室を出ようとした。

しかし、出口から出ようとすると、突然誰かに服の襟を引っ張られる。一瞬、息が詰まった。
 

「わっ。お、おい、誰だよ…」
 

喉をさすりながら振り向くと、そこに立っていたのは黒西だった。
 

「今日、向日葵さんいないわよ」
 
「…は?」
 

突然の言葉に、俺は腕をだらーんと下げて、黒西を見つめた。
 

黒西は一つため息をつくと、呆れたように首を左右に振る。
 

「だから、向日葵さんは毎週月曜日はいないそうよ。今日特別クラスに行ったら、そこの先生がそう言っていた」
 

あ、そうなんだ…。
 

って、いやいや、それ以前により気になる疑問がある。
 

「なんでお前が、特別クラスに行ったの?ていうか、なんで向日葵がいない事聞いたの?」
 

黒西の顔が余計に険しくなったと思ったら、突然そっぽを向く。
 

「…ちょっと用があったから、特別クラスに行ったのよ。そこでついでに教えてもらったの」
 

なんだか、声のトーンも態度も、不機嫌な感じがする。なにか怒ってるのだろうか?
 

「お前さ…」
 

「じゃ、私もう行くから」
 

怒ってる?と聞く前に、黒西は教室を出て行ってしまった。