自分の腕を掴んでいる滝本くんの手を、もう片方の腕でぐっと引っ張った。


そうすると、やっと滝本くんが止まってくれた。


あたしに背を向けていた滝本くんが、腕を掴んだままゆっくりと、あたしの方へ振り返った。


さっきの怒ったような怖い表情ではなくなっていた。


だからあたしも少し安心して、口を開いた。



「滝本くん、足速いよ…っ」


「…あぁ、わりぃ…。」


「ていうか滝本くん、どうして学校に残っていたの?今日一緒に帰る約束なんてしてないよね…?」


「……。お前が、横沢に変なことされてないか心配だった。」


「…え?」



変なこと…って、なにかな…?


滝本くんがそう言っている意味が分からなくて、首を傾げた。



「あいつがお前に近づこうとしてんのがわかるんだよ。そんなの…俺が嫌なんだ。」



横沢くんが、あたしに近づこうとしてるって…?


さっきから滝本くんの言葉がよくわからない…あたし、理解力がないのかな…?


それは、どういう____…