「…そろそろ帰らなきゃな。」



あたしの顔を覗き込んで、ぽつりと言った翔くんの言葉にふと時計に目をやると、時刻は8時を回っている。


あたしは寂しくなってしまって、でも悟られたくなくて俯いた。



「…うん。」



帰りたく、ないなぁ。


一日あっという間だった。


今日が終わってほしくない。


もっと、翔くんと一緒にいたい。


すると、ふわりと翔くんに抱きしめられた。


あたしも翔くんの背中に腕を回す。



「帰りたくないって、思ってるだろ。」


「…えへ、バレちゃった。」


「当たり前。」



翔くんにはお見通しかぁ。


もっと一緒にいられたらいいのにぁ。



「…ねえ、翔くん。」


「ん?」


「今度、お泊まりしたいな。」


「…はっ?泊まり?!」



翔くんはあたしの肩を掴んで驚いたような声を発した。



「と、泊まり…っ。」


「うん!ダメ、かな?」