-翔side-


緋奈を家まで送り帰る途中に偶然会った…緋奈の友達。


川嶋…って言ったよな、確か。


緋奈と付き合っていても、他の女が苦手なことには変わりなくて。


俺は、相当顔が引きつっていたと思う。


…けど、緋奈の友達だし。


しかも、かなり仲が良いみたいだし。


俺のそういう態度は、やっぱり失礼だよな。


川嶋はそんな俺の態度を気にしてないのか、終始普通に笑顔でベラベラと喋っていたな。


緋奈の大事な友達…次会うことがあれば、もうちょっと仲良くする努力をしよう。


川嶋に教えてもらった、緋奈の誕生日。


あと二週間後じゃねーか。


なんでこいつ、俺に自分の誕生日を言わなかったんだ。


まあ…言うタイミングがなかったのかもしれない。


それに俺がそういう話をしなかったことに、少し後悔した。


緋奈の自宅のマンションへの帰り道。


ふたり並んでゆっくり歩く。


隣を歩く緋奈を見下ろすと、寒そうにマフラーに顔を埋めていた。


こうして見下ろしていると、緋奈の長いまつ毛に伏せられた二重の大きな瞳が綺麗に見えて…ドキッとする。