「なあ、翔。」


「なんだよ。」


「お前は。…お前も、緋奈のこと好きだよな?」


「…っ」



夕焼けに染まった優介の表情は真剣で。


俺は優介のその真剣な目から視線を逸らすことができなかった。


取り外したイヤホンを握りしめた手に、ぎりりっと力を込めた。



「ああ…好きだ。」



3人には、自分の気持ちを話してなかった。


まあ…女が嫌いな俺が明らかに中村に対する態度が変わってるし、気付かれているとは思ってたけど。


俺がそういうと、優介は口角を上げふっと笑みを浮かべた。


そして俺の肩にぽんと手を置くと。



「頑張れよ、翔。」



と、囁いたんだ。


…な、なんだ?


優介らしくねぇ。


俺がよく理解できていないのに、優介は「そんじゃ。」と言って片手をひらひらとあげて歩き去っていった。


頑張れよ…つまり、応援してくれているのか…?


…よくわかんねぇ…とにかく、走る。


俺はイヤホンを装着して音楽を再生させて、颯爽と駆け出していった。