「前にもお前のこと抱きしめたり、俺が奪う!とか言ったの、覚えてる…よな?」



たしかに、言われた。


体調を崩してしまった相葉くんのお見舞いの帰りの出来事だ。


…あのときほっぺにキスまでされて、驚いたのと同時にドキドキしたのを覚えている。


その行動も、あたしのことを好きでいてくれたから…だったんだよね…?


そのときは、滝本くんがそんなふうに思ってくれてるとか…わからなかった。



「まあ…そん時お前は俺の気持ちに気づいてないなと思ったけどな。」



ずばり滝本くんに言い当てられる。


なんだか申し訳なくなって小さな声で「ごめん…」と言うと、滝本くんは苦笑いをした。


けど、歪んだ笑顔のあと真剣な表情で、彼は言った。



「…俺と、付き合って欲しい。」



その声は小さく、でもはっきりと聞こえた。