「ミオ、俺……」
「ア……アメリカ式?」
「……へ?」
「ほら、こう……なんていうか。アメリカだと、お礼とか挨拶で、相手をギュッとしたりするから、今のもそうなのかなと思って……」
……いや、そうじゃないけど。
全然、そうじゃないけど。
とは、口が裂けても言えそうになかった。
「う、うん。ごめん、そんな感じ!」
咄嗟にミオの勘違いに乗っかると、ミオは「やっぱり」と安堵の息をついた。
とりあえず、よかった……のか?
よくよく考えると全然よくない気もするけど、今はもう、これ以上考えないでおこう。
「今日は色々、ありがとう。ユウリくんのこと……少しだけでも知れて、良かった」
ふわりと笑うミオを前に、胸が高鳴る。
「俺のほうこそ……今日は色々、ありがとう」
ぽつりとつぶやくと、ミオもまた小さく「……うん」と答えてくれた。
きっと、お互いのことを知るにはまだまだ時間が足りていない。
だからこそ、今は一瞬一瞬を大事にしたいと思うんだ。
……ミオのことを、大事にしたい。
そしていつか、想いを伝えられたらいい。
「そろそろ……帰ろっか」
そう言って笑うと、ミオも笑って頷いてくれた。
隣で、好きな子が笑ってくれる。
今はそれだけのことが途方もなく幸せに感じて、自然と心が温かくなった。