「あ、あの……っ。ユウリくん、私は……」
「──大丈夫」
「え……?」
「今すぐ返事はいらないし、いつまででも待つから……大丈夫」
我ながら、情けない。
だけど今、泣きそうな表情で戸惑うミオを前にしたら、答えを聞くのは無理だった。
友達だと思っていた俺に、突然好きだと言われたら驚くに決まってる。
現に俺は今言った通り、今すぐ答えが欲しくて告白をしたわけではなかった。
ただ、自分の気持ちをミオに伝えたかっただけだ。
伝えずにいられなかっただけ。
だからミオが自分の気持ちに整理をつけられるまで、答えを急かすつもりもないし、無理に返事もしてほしくない。
「……今日はもう、帰ろうか」
そう言って微笑んで、繋いだ手に力を込めると、ミオは俯きながら頷いた。
緩やかに流れる雲が、茜色に染まっていく。
駅までの道を歩きながら、俺達はどちらも口を開かずに、足元で繋がった影だけを眺めていた。