俺の「好き」は、キミ限定。

 


「行こう。話の続きもあるし、家まで送る」

「え……あ、あの……っ。ユウリく──」


答えを聞くより先に立ち上がった俺は、戸惑うミオの手を取った。

そうしてその手をギュッと握ると、手を引いたまま電車を降りてホームに立った。

【ドアが閉まります、ご注意ください】

直後、聞き慣れたアナウンスとともに、電車が走り去っていく。

初めて降りた駅のホームは新鮮で、不思議と空気も違うように感じた。


「……ミオは、俺と手、繋ぐのヤダ?」

「……え?」

「嫌だったら、ハッキリ嫌って言ってほしい。ミオに無理させたいわけじゃないから」


繋いだ手からはミオの熱が伝わってきて、それだけで、緊張して身体の奥が熱くなる。

俺はミオと手を繋ぎたい。

ミオと並んで歩くたびに、この小さな手を掴んで歩きたいと思ってた。


「い、嫌なわけないよ……! 嫌だなんて、思うわけない……!」

「え……」

「ただ、慣れないし、男の子とこんなふうに手を繋ぐのは初めてで、私……。その……今、すごく緊張してて……」


俯いたミオの頬は、真っ赤に染まっていた。

かく言う俺は予想外の言葉に驚いて、一瞬言葉に詰まってしまった。