大手出版社が主催しているというだけあって、参加者はかなり多かった。
大広間に綺麗に並べられた椅子に詰めて座ってゆく。
私のようにひとりで来ている人もいれば何人かで来ている人たちもいて、始まる前は雑談が聞こえていた。

入口で渡された書類には、今日どんなことを話すのか具体的に書かれていた。

『1、若者の紙離れ=本離れ

2、書籍市場とデジタル化の進展

3、自己成長・キャリアアップの近道

4、情報の取捨選択

5、多読に辿り着くコンテンツ』

……果たして若輩者の私に理解できるのだろうか。
一抹の不安はあったものの、これもひとつの経験だと前を向き直した。

普段あまり着ないスーツを見下ろし、しっかりと背筋を伸ばす。スーツは、普段の姿勢を正すような戦闘服みたいだと思ってしまった。



しっかりと司会進行役もいる大規模な講習会は、いち書店員である私には少し荷が重かったけれど、始まってしまえば興味深く、そして参考になる講話ばかりだった。

時折メモをとったりしていたので、できれば机もほしいところだった。