メガネをクイッと上げながらいきなり苗字を言われて、私は「どうして知ってるんですか?」と思わず声を上げてしまった。
「いえ!深い意味はないんです!ただ、とても感じのいいひとだなと思って、名札を拝見しまして」
そういうことか。
エプロンにつけていた「折笠」の名札を見ていたのか。
そのあたりを歩いていれば、もしかしたら彼に振り向く女性もいるかもしれない。
そう思うほど、彼は洗練された外見をしていた。
そんな人に声をかけられる日が来ようとは。
なんだかむずがゆい気持ちにもなる。
「俺は風見理といいます。理科の理って書いて、マコトと読みます」
「あ…はい。折笠美羽です」
「美羽さん。よろしくお願いします」
距離の詰め方が異常に早いのは、もちろん分かってはいた……が、止め方を知らない。
彼のペースに完全に飲まれる。
脇に置いていた深緑のスマホを私に見せ、
「よかったら連絡先でも交換しませんか?いきなり番号なんかは聞きませんので、SNSでもいいです」
とにっこり笑った。
「えっ…、えっと、それはあの…」
どう断ろうかと目を泳がせていると、カターン!と派手な音が後ろでして、慌てて振り返る。
パンケーキを食べ終わった小太郎さんが、フォークとナイフを落としてしまったようで拾い上げているのが見えた。
「大丈夫ー?」
と、急いだ様子で料理を作っていたはずの由花子さんが奥から出てくる。
「申し訳ないです、カトラリー落としちゃいました。すみません、お騒がせしちゃって」
「ううん、全然。大丈夫だった?」
「はい、僕は大丈夫です。忙しい時にすみませんが、そろそろお会計してもいいですか?」
「いえ!深い意味はないんです!ただ、とても感じのいいひとだなと思って、名札を拝見しまして」
そういうことか。
エプロンにつけていた「折笠」の名札を見ていたのか。
そのあたりを歩いていれば、もしかしたら彼に振り向く女性もいるかもしれない。
そう思うほど、彼は洗練された外見をしていた。
そんな人に声をかけられる日が来ようとは。
なんだかむずがゆい気持ちにもなる。
「俺は風見理といいます。理科の理って書いて、マコトと読みます」
「あ…はい。折笠美羽です」
「美羽さん。よろしくお願いします」
距離の詰め方が異常に早いのは、もちろん分かってはいた……が、止め方を知らない。
彼のペースに完全に飲まれる。
脇に置いていた深緑のスマホを私に見せ、
「よかったら連絡先でも交換しませんか?いきなり番号なんかは聞きませんので、SNSでもいいです」
とにっこり笑った。
「えっ…、えっと、それはあの…」
どう断ろうかと目を泳がせていると、カターン!と派手な音が後ろでして、慌てて振り返る。
パンケーキを食べ終わった小太郎さんが、フォークとナイフを落としてしまったようで拾い上げているのが見えた。
「大丈夫ー?」
と、急いだ様子で料理を作っていたはずの由花子さんが奥から出てくる。
「申し訳ないです、カトラリー落としちゃいました。すみません、お騒がせしちゃって」
「ううん、全然。大丈夫だった?」
「はい、僕は大丈夫です。忙しい時にすみませんが、そろそろお会計してもいいですか?」



