「こちらでお間違いないでしょうか」
「ありがとうございます」
受け取った彼は、ふっとやわらかく微笑んでそのままレジへと向かっていった。
こういったことは、一日の中で何度もあることだ。
さっきも私と同じくらいの年代の女性二人にアイドルグループの写真集の場所を聞かれたところだった。
人間の趣向は、本でわかることもあったりする。
こんな感じの人がこんな意外な本を買うんだ、と密かに驚くこともあったりして、とても面白くて興味深い。
「折笠さん、お先に失礼するね」
今度は聞き馴染みのある声がして、すぐに杉田さんだと分かる。
彼はなにやら何冊も買い込んだらしい雑誌をホクホクした顔で袋に下げ、ぺこっと私に向かって律儀に頭を下げていた。
「はい。お疲れ様でした!今日はなにか楽しいことでも?」
「このあと、好きなアーティストが動画配信するから急いで帰らなくちゃ」
彼は音楽が好きなようで、いつもそれ関係の雑誌や本などを買っていくことが多い。趣味があるってとてもいい。
「楽しんでくださいね」とぴっちりシャツをインして帰ってゆく姿を見送る。
趣味があるって人生を彩ってくれるんだな、と彼を見ていると体現しているようで羨ましくなったりもする。
なにか、趣味を持ってみたりした方がいいのだろうか。そうしたら、またいつもと違う景色が見えたりするのだろうか。
「ありがとうございます」
受け取った彼は、ふっとやわらかく微笑んでそのままレジへと向かっていった。
こういったことは、一日の中で何度もあることだ。
さっきも私と同じくらいの年代の女性二人にアイドルグループの写真集の場所を聞かれたところだった。
人間の趣向は、本でわかることもあったりする。
こんな感じの人がこんな意外な本を買うんだ、と密かに驚くこともあったりして、とても面白くて興味深い。
「折笠さん、お先に失礼するね」
今度は聞き馴染みのある声がして、すぐに杉田さんだと分かる。
彼はなにやら何冊も買い込んだらしい雑誌をホクホクした顔で袋に下げ、ぺこっと私に向かって律儀に頭を下げていた。
「はい。お疲れ様でした!今日はなにか楽しいことでも?」
「このあと、好きなアーティストが動画配信するから急いで帰らなくちゃ」
彼は音楽が好きなようで、いつもそれ関係の雑誌や本などを買っていくことが多い。趣味があるってとてもいい。
「楽しんでくださいね」とぴっちりシャツをインして帰ってゆく姿を見送る。
趣味があるって人生を彩ってくれるんだな、と彼を見ていると体現しているようで羨ましくなったりもする。
なにか、趣味を持ってみたりした方がいいのだろうか。そうしたら、またいつもと違う景色が見えたりするのだろうか。



