彼とタケルさんのやりとりを眺めながら、もったいないという言葉がブスっと心に刺さる。
本来なら、第一線で活躍するべき立場なのに。
この葛藤は、彼が私を護衛している限り続くのであろう。
暗い気持ちになりつつあると、すかさずタケルさんが懐から名刺を取り出して私に差し出してきた。
「折笠さん、よかったらコタローじゃなくて俺がボディーガードしますよ。なんてったって専門なんで」
と、渡された名刺には『ニシジマ・セキュリティー 真山武』と書かれていた。
だがその名刺は、あっという間に小太郎さんによって奪われた。
「タケル、いい加減にしてよ。椿ちゃんも怒っちゃうよ」
「もう慣れました〜」
後ろで椿さんが呆れたように笑っている。
小太郎さんはタケルさんの名刺を本人に突き返すと、私の手を引いた。
「はい、買い物は済んだでしょ。もう帰るよ」
ここでひっそり心臓が跳ね上がっていることも知らずに、よくやるわこの人。とドキドキしつつ、椿さんたちに会釈した。
「またお待ちしてます!」
という微笑む椿さんと、なぜかにっこり作り笑顔で手を振るタケルさんが見えたが、すぐに小太郎さんによってお店のドアはバタン!と閉められた。
「すごい偶然!お友達に会えるなんて」
外に出た瞬間に離された手はちょっと名残惜しくもあったけれど、心臓がもたないので良かったかもしれない。
今日この短時間に、ほんの少しだけ小太郎さんのプライベートが垣間見えた気がして嬉しかった。
本来なら、第一線で活躍するべき立場なのに。
この葛藤は、彼が私を護衛している限り続くのであろう。
暗い気持ちになりつつあると、すかさずタケルさんが懐から名刺を取り出して私に差し出してきた。
「折笠さん、よかったらコタローじゃなくて俺がボディーガードしますよ。なんてったって専門なんで」
と、渡された名刺には『ニシジマ・セキュリティー 真山武』と書かれていた。
だがその名刺は、あっという間に小太郎さんによって奪われた。
「タケル、いい加減にしてよ。椿ちゃんも怒っちゃうよ」
「もう慣れました〜」
後ろで椿さんが呆れたように笑っている。
小太郎さんはタケルさんの名刺を本人に突き返すと、私の手を引いた。
「はい、買い物は済んだでしょ。もう帰るよ」
ここでひっそり心臓が跳ね上がっていることも知らずに、よくやるわこの人。とドキドキしつつ、椿さんたちに会釈した。
「またお待ちしてます!」
という微笑む椿さんと、なぜかにっこり作り笑顔で手を振るタケルさんが見えたが、すぐに小太郎さんによってお店のドアはバタン!と閉められた。
「すごい偶然!お友達に会えるなんて」
外に出た瞬間に離された手はちょっと名残惜しくもあったけれど、心臓がもたないので良かったかもしれない。
今日この短時間に、ほんの少しだけ小太郎さんのプライベートが垣間見えた気がして嬉しかった。



