─────この女性とは、どんな関係?
と、聞きたいけれど、聞けない弱気な自分に嫌気がさす。
「結婚式だから、白は避けないといけないから…。落ち着いた色味の方がいいのかなぁ。ワンピースタイプ、セパレートスカートタイプ、オールインワンタイプ、パンツスタイル…色々あるけど希望はありますか?」
的確なアドバイスのもと、候補に出されたいくつものバリエーション豊かな服を見比べる。
「小太郎さん」
きっと勝手に決めるだろうと思っていたのだろう。
呼びかけにビクッと反応すると、おそるおそるこちらを向いた。
「何がいいと思います?」
「僕はどれも似合うと思うけど」
「ちゃんとしっかり見てます!?」
「み、見てるよ」
私たちのやりとりを見て、店員の女性は面白そうに大笑いしていた。
「待って、もしかして、もしかしなくても、本当に三上くんの恋人?ちゃんと選んであげてくださいよ!」
「は、はぁ…」
肯定も否定もしない彼の絶妙な返しが気になるところではあったものの、いちいち気にしてなどいられない。
「まあ、とりあえずひと通り着てみます?」
という女性の言葉に習い、出してくれた服を試着してみることにした。
試着室に入り、何着も用意された服のひとつに袖を通す。
その試着室の外で、小太郎さんと彼女の会話が聞こえてくる。
「タケルは?」
「もうすぐ迎えに来ると思います。閉店時間に合わせてきてくれるので」
「うまくやってるんだね」
「まあ…そうですね」
照れたような彼女の声は、外野が聞いても分かるほどに幸せに満ちていた。
…ん?この「椿さん」には恋人がいるのか?
という考えがよぎり、心が落ち着いてゆくのを感じた。
お付き合いしている人が、小太郎さんも知っている人のようである。胸につかえていた霧がすーっと晴れるような感覚を覚える。
と、聞きたいけれど、聞けない弱気な自分に嫌気がさす。
「結婚式だから、白は避けないといけないから…。落ち着いた色味の方がいいのかなぁ。ワンピースタイプ、セパレートスカートタイプ、オールインワンタイプ、パンツスタイル…色々あるけど希望はありますか?」
的確なアドバイスのもと、候補に出されたいくつものバリエーション豊かな服を見比べる。
「小太郎さん」
きっと勝手に決めるだろうと思っていたのだろう。
呼びかけにビクッと反応すると、おそるおそるこちらを向いた。
「何がいいと思います?」
「僕はどれも似合うと思うけど」
「ちゃんとしっかり見てます!?」
「み、見てるよ」
私たちのやりとりを見て、店員の女性は面白そうに大笑いしていた。
「待って、もしかして、もしかしなくても、本当に三上くんの恋人?ちゃんと選んであげてくださいよ!」
「は、はぁ…」
肯定も否定もしない彼の絶妙な返しが気になるところではあったものの、いちいち気にしてなどいられない。
「まあ、とりあえずひと通り着てみます?」
という女性の言葉に習い、出してくれた服を試着してみることにした。
試着室に入り、何着も用意された服のひとつに袖を通す。
その試着室の外で、小太郎さんと彼女の会話が聞こえてくる。
「タケルは?」
「もうすぐ迎えに来ると思います。閉店時間に合わせてきてくれるので」
「うまくやってるんだね」
「まあ…そうですね」
照れたような彼女の声は、外野が聞いても分かるほどに幸せに満ちていた。
…ん?この「椿さん」には恋人がいるのか?
という考えがよぎり、心が落ち着いてゆくのを感じた。
お付き合いしている人が、小太郎さんも知っている人のようである。胸につかえていた霧がすーっと晴れるような感覚を覚える。



