数日後のジムの日。
梨花と相談して、筋トレ中心のフィットネスではなく、女性専用のピラティスクラスをやってみようということになった。
そろそろジムも次のステップへ行きたいと私が話したら、飽き性の梨花からパーソナルフィットネスは却下され、SNSでもよく見かけるピラティスはどうかと提案されたのだった。
インナーマッスルを鍛えられると聞いたので、良さそうだと思い一緒に行ってみることにした。
さすがに女性専用ということで、その中までは小太郎さんはついてくることはできない。
私にとっても、話したいことを自由に話せる数少ないチャンスだった。
「呼吸を整えてー、息をゆっくり吸いますよー」
穏やかなBGMが流れる中で、前にいる講師の女性トレーナーの動きを真似しながらいつもはしないような体勢をとっている。
年齢は様々な女性が二十数人はいた。
明日にでもすぐに筋肉痛になりそうな、めちゃくちゃきつい体勢ではないのだが、普段使わないような筋肉を使っているような感覚である。
後方を陣取った私たちは、トレーナーの女性をなんとか見ながらゆったりとした動きを続けていく。
真剣にすぅーっと息を吸ってやっていたら、梨花が隣で小声で
「それで?」
と聞いてきた。
「はーい、それでは前かがみになってくださーい」
講師トレーナーの言う通りに前かがみになりながら、隣を一瞥する。
「それで?って言われたって」
「美羽は小太郎さんの本当の顔が知りたいんでしょ?」
「うん…。だって嘘つかれてるのも、なんかね」
梨花はそれを聞いて、ふふっと微笑んだ。



