高校の時に出会った梨花が、最初の理解者だったように思う。
『すごーい!本当にそういうのってあるんだ!かっこいー!SPって要人にしかつかないのかと思ってた!
てことは、美羽と一緒にいたら私も守ってもらえるじゃんね!
え?ずーっとついてくる?全然気にしないよー!
なんでそんな気にするの?うちらが楽しければいいじゃん!』
たいていみんな離れていくのに、気にしないとハッキリ言ってくれて、それまでの人間関係のつらさが吹き飛んだのを今も覚えている。
梨花は底抜けに明るくて、いい意味で計画性がなくて、人を楽しませてくれる。
社会人になってからも付き合いのある、間違いなく私の親友である。
小中学校時代、そして大学時代は梨花は一緒ではないので、ろくな人間関係は築けていない。
興味本位で近づいてくる人もなかにはいたが。
ひとつの不安が私を取り囲むが、ふるふると頭を振って払拭した。
由花子さんはお料理を作ったあとは、ガパオライスを食べる私のそばで食器を拭きながら話し相手をしてくれた。
「なるほどね〜。一度SPは外してもらえていたのね。クラブなんて私には縁遠いけど、やっぱり悪い人たちってどこにでもゴロゴロいるのね…。美羽ちゃんには災難だったわね」
「最悪ですよ!やっと自由になれたと思ったらまた同じことの繰り返し…」
「え?まさか一緒に暮らしてるの?」
おそらく彼女からすれば、単純に思ったことを聞いただけなのだろう。しかし、私からすれば予想外の質問だった。
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
思わず大きめの声を上げてしまい、ついでに立ち上がっていたことに気づいて、急いで座る。
あたりを見ると、小太郎さんだけが面白そうに含み笑いを浮かべながらホットサンドを頬張っていた。他のお客さんはまったく私のことなど見てもいない。
ひと息ついて、私は由花子さんに抗議した。
「さすがにありえませんよ、そんなこと」
「え〜、だってさ、ねぇ、警護ってどこまでついてくるの?」
それは…、とグッと口をつぐむ。
真正面から不思議そうな目をしている由花子さんの視線が痛い。
「どこまでって、家の外までですけど」
「でしょう?そして出かける時にはもう外に待機してるの?」
「そうですね…そんな感じです」
「すごいわよねぇ、お父様の徹底ぶりも」
感心したようにつぶやく由花子さんの言葉が、私の頭の中をぐるぐると回る。
いつからここまで徹底的になったんだっけ。
本当に第三者から見れば、徹底的に見える。
チラリと小太郎さんを見るも、彼は食後に頼んでいたダブルティラミスパンケーキをあらゆる角度から写真を撮っているところだった。
幼い頃の記憶を辿る。
父がこんなに神経質に私を守るようになったのは、小学校に入ってからだったような気はするものの、詳しいことは思い出せない。
「嫌がらせで、しばらく実家には帰らないつもりです」
私も食後のデザートで出てきたイチゴのパンナコッタを口に運びながらそう言うと、由花子さんは大笑いした。
「あはは、お父様きっと泣いちゃう」
「いいんです、泣かせます、もう」
「娘にこんなことを言われてるなんて思いもしてないでしょうね」
私に会えないことで寂しい思いをするならば、むしろいい気味である。
こんなことを考えてしまう私は、親不孝だろうか。
『すごーい!本当にそういうのってあるんだ!かっこいー!SPって要人にしかつかないのかと思ってた!
てことは、美羽と一緒にいたら私も守ってもらえるじゃんね!
え?ずーっとついてくる?全然気にしないよー!
なんでそんな気にするの?うちらが楽しければいいじゃん!』
たいていみんな離れていくのに、気にしないとハッキリ言ってくれて、それまでの人間関係のつらさが吹き飛んだのを今も覚えている。
梨花は底抜けに明るくて、いい意味で計画性がなくて、人を楽しませてくれる。
社会人になってからも付き合いのある、間違いなく私の親友である。
小中学校時代、そして大学時代は梨花は一緒ではないので、ろくな人間関係は築けていない。
興味本位で近づいてくる人もなかにはいたが。
ひとつの不安が私を取り囲むが、ふるふると頭を振って払拭した。
由花子さんはお料理を作ったあとは、ガパオライスを食べる私のそばで食器を拭きながら話し相手をしてくれた。
「なるほどね〜。一度SPは外してもらえていたのね。クラブなんて私には縁遠いけど、やっぱり悪い人たちってどこにでもゴロゴロいるのね…。美羽ちゃんには災難だったわね」
「最悪ですよ!やっと自由になれたと思ったらまた同じことの繰り返し…」
「え?まさか一緒に暮らしてるの?」
おそらく彼女からすれば、単純に思ったことを聞いただけなのだろう。しかし、私からすれば予想外の質問だった。
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
思わず大きめの声を上げてしまい、ついでに立ち上がっていたことに気づいて、急いで座る。
あたりを見ると、小太郎さんだけが面白そうに含み笑いを浮かべながらホットサンドを頬張っていた。他のお客さんはまったく私のことなど見てもいない。
ひと息ついて、私は由花子さんに抗議した。
「さすがにありえませんよ、そんなこと」
「え〜、だってさ、ねぇ、警護ってどこまでついてくるの?」
それは…、とグッと口をつぐむ。
真正面から不思議そうな目をしている由花子さんの視線が痛い。
「どこまでって、家の外までですけど」
「でしょう?そして出かける時にはもう外に待機してるの?」
「そうですね…そんな感じです」
「すごいわよねぇ、お父様の徹底ぶりも」
感心したようにつぶやく由花子さんの言葉が、私の頭の中をぐるぐると回る。
いつからここまで徹底的になったんだっけ。
本当に第三者から見れば、徹底的に見える。
チラリと小太郎さんを見るも、彼は食後に頼んでいたダブルティラミスパンケーキをあらゆる角度から写真を撮っているところだった。
幼い頃の記憶を辿る。
父がこんなに神経質に私を守るようになったのは、小学校に入ってからだったような気はするものの、詳しいことは思い出せない。
「嫌がらせで、しばらく実家には帰らないつもりです」
私も食後のデザートで出てきたイチゴのパンナコッタを口に運びながらそう言うと、由花子さんは大笑いした。
「あはは、お父様きっと泣いちゃう」
「いいんです、泣かせます、もう」
「娘にこんなことを言われてるなんて思いもしてないでしょうね」
私に会えないことで寂しい思いをするならば、むしろいい気味である。
こんなことを考えてしまう私は、親不孝だろうか。



