「三上くん、大丈夫!?」

「うん、こっちは全然なんともないよ」

痛くも痒くもなさそうな顔をしているが、肩から出血しているその量はなかなかだ。
とりあえずポケットからハンカチを取り出して彼の肩に押しつけた。ぐいっと押して

「止血しなよ」と言うと、
三上くんはありがとうと微笑んだ。


彼の視線はずっと人質になっていた女性へ向けられていた。

彼女は警視総監の折笠公夫がちょうど到着して半泣きの父親に抱きしめられていた。
ここから見ても、彼女も相当やられたのは分かる。
着ているパンツスーツはボロボロ、ところどころ破れて傷も見えた。

口から血も出ていたし、頬も叩かれたのだろう腫れ上がっている。

…警視総監の娘というだけで狙われたのだと思うと、可哀想でならなかった。