そこにいたのは、銃口を主犯格と思しき男に向ける三上くんと、おそらく人質にされていたのであろう若い女性。
助け出したあとのようで、どこかで見たことのある体の大きな同じ警視庁の後輩らしき人物が彼女を支えていた。
しっかりと対峙しているその姿は、後ろ姿でも分かる。
三上くんの、怒りに満ちた背中。
ビリビリする緊張感は、少し離れたこちらにも伝わってきた。
……あの、温和でのほほんとしている普段の姿からは想像もできない。
ちらりと人質になっていた女性を見やる。
遠目から見ても、もう力なくほぼ意識もないのではなかろうか。
顔は血まみれで、腕にすさまじい痣も見えた。
なにかに縛られていたことは明白だ。
主犯の男と彼は会話をしているようにも見えていたが、その会話もすぐに終わった。
臨戦態勢に入り素早く三上くんが彼の懐に潜り込む。
彼ってこんなに動ける人だったの?
その姿を見て、すぐに分かった。
────柔道だ。
刃物を持っている男をかいくぐり、しっかりと組手を瞬時に完成させ、同じような体格の男をいとも簡単に空高く回転させるようにして地面に叩きつけていた。
どの程度の所要時間だったのか、体感は秒である。
三上くんが構えていたはずの拳銃は地面に転がっていた。
日本の警察で発砲するのは、当然だが基本的にNG行為である。やむを得ない場合を除いては。
彼はそれをはなから脅しの道具としてしか持っていたに過ぎなかったのだ。
あちらこちらにいたであろう、グループの残党たちもどんどん捕まってゆく。
ほとんどが雑魚…という言い方はよくないかもしれないが、警察の手に負えないほどの能力を持ったやつなどいなかった。
「錦戸さん、三上さん怪我したみたいです。行きましょう」
近藤くんに肩をトントンと叩かれ、ハッと我に返る。
私たちは慌てて三上くんのもとへと急いだ。
助け出したあとのようで、どこかで見たことのある体の大きな同じ警視庁の後輩らしき人物が彼女を支えていた。
しっかりと対峙しているその姿は、後ろ姿でも分かる。
三上くんの、怒りに満ちた背中。
ビリビリする緊張感は、少し離れたこちらにも伝わってきた。
……あの、温和でのほほんとしている普段の姿からは想像もできない。
ちらりと人質になっていた女性を見やる。
遠目から見ても、もう力なくほぼ意識もないのではなかろうか。
顔は血まみれで、腕にすさまじい痣も見えた。
なにかに縛られていたことは明白だ。
主犯の男と彼は会話をしているようにも見えていたが、その会話もすぐに終わった。
臨戦態勢に入り素早く三上くんが彼の懐に潜り込む。
彼ってこんなに動ける人だったの?
その姿を見て、すぐに分かった。
────柔道だ。
刃物を持っている男をかいくぐり、しっかりと組手を瞬時に完成させ、同じような体格の男をいとも簡単に空高く回転させるようにして地面に叩きつけていた。
どの程度の所要時間だったのか、体感は秒である。
三上くんが構えていたはずの拳銃は地面に転がっていた。
日本の警察で発砲するのは、当然だが基本的にNG行為である。やむを得ない場合を除いては。
彼はそれをはなから脅しの道具としてしか持っていたに過ぎなかったのだ。
あちらこちらにいたであろう、グループの残党たちもどんどん捕まってゆく。
ほとんどが雑魚…という言い方はよくないかもしれないが、警察の手に負えないほどの能力を持ったやつなどいなかった。
「錦戸さん、三上さん怪我したみたいです。行きましょう」
近藤くんに肩をトントンと叩かれ、ハッと我に返る。
私たちは慌てて三上くんのもとへと急いだ。



