添えていただけの私の手は、もはやしがみつくみたいになって彼のシャツを握りしめる。
息継ぎだけはさせてくれるのか、時折唇が離れるのだが、またそれは再開される。

大人のキスってこんなに激しいのかと、体温の上昇ととともに、このキスの熱量に溺れてしまいそうだった。
溢れる、甘い時間。
頭のてっぺんからつま先までなにからなにまで、燃えるように熱い。


「本当は続きがしたいけど、無理だよね?」

キスが終わったと思ったらそんなことを言い出すもんだから、私は口より先に手が出てしまった。
彼の鎖骨あたりをゴンゴンと叩いた。

「む!無理です!心臓がもたない」

「その緊張は心配しなくてもちゃんと受け止めるよ」

「たぶん引くほどの緊張だから小太郎さんには抱えきれないと思います」

「家じゃ嫌?ホテルにする?」

「そういうことじゃなくて!」

「じゃあ家の方が安心する?」

「だから!そういうことじゃなくて!」

「なるべく理性を保つようにするよ」

────いやいや、まず同意してないです!