いつの間にか、私の腕を拘束していた縄のようなものが解かれていた。
小太郎さんは左手で私を支え、右手で拳銃を構えているから……誰が解いてくれたの?

「ッス!申し訳ないっす!!!」

涙腺崩壊寸前の鬼塚さんだった。


「おいおい……百人以上は集めたっていうのに…。どうなってんだよ」

うろたえるだんご三兄弟は、抵抗すらできないまま警官たちが羽交い締めにして捕らえられてしまった。

悠月はこの事態をまったく想定していなかったようで驚いていたが、銃口を向けてくる小太郎さんに向き直ると自虐的に鼻で笑った。

「あー、やっぱりあんたが一番厄介だったんだなぁー。そんな予感はしたよ」

「そう?」

「あんた段違いで勘がよかったもんな。試した時も気づいていたんだろう」

「あんな受け身とられたら。そりゃあ警戒するよ」

「あいつ、俺たちの中でも特に体術に優れてたんだが…まさか捕まるなんて思ってなかったぜ」


パズルのピースがはまるように、会話のひとつひとつからとある出来事が浮かび上がる。
ひったくり犯を捕まえた時のことだ!

一瞬で彼がひったくり犯を気絶させたのは記憶にあるが、受け身をとられた上で気絶させていたとは。


「柔術の使い手だろ?そっちは苦手なんじゃ?」

悠月は両手を上げたものの、おしゃべりはやめない。
なにかを企んでいるのか─────
“そっち”というのが拳銃であることも明白だ。

その頃、ドラマや漫画で見るような、SAT部隊のような人たちもちょうど駆けつけてきた。

もう悠月にはどう考えても逃げ場などない。
小太郎さんの銃口はブレない。ずっと悠月に向いたままだ。