バチン!と強く左頬を叩かれた。
反動で身体が床に倒れ込む。
死ぬほど痛いが、言いたいことを言ってやった爽快感さえ沸いた。

起き上がりたくても腕が使えないので、冷たい地面に転がったまま。
でも、体勢なんてどうだっていい。
腹が立つので睨みつけた。


「ほんとにコイツ、警視総監の娘?口の利き方がおかしくねぇか?」

「起きたら呼べって悠月さんに言われてたけど…どうする?」

「まだ睨んでるぞ、この女」

口々にそれぞれ話すと、じろりと三人は私を見下ろして目を合わせた。

「パパに教わらなかったのかなぁ?そんな目で人を見るなって」

「バッカみたい。地獄に落ちろ」

自分でも吐いたことのないような汚い言葉がどんどん思いついて、いくらでもこの男たちを貶すことができそうな気がした。

それをさせまいと、一人の男の靴が私のお腹にガツンと飛んできた。

「いたッ!」

気を失う前に殴られた場所と同じみぞおちにヒットしたので、さすがに声が漏れた。
顔を歪めていると、また髪の毛をつかまれる。

「綺麗な髪の毛だなあ。坊主にでもするか」