意識を失っていた。

目を覚ましてすぐに腹部に痛みが走り、押さえようとしても手が出てこない。
……あぁ、腕が後ろで縄かなにかで縛られていて動かせない。

頬も痛い。
そういえば、抵抗してお腹を殴られ、頬を何度か叩かれた。

どうして気を失ったのか少しずつ思い出してきて、このたいへんな事態を招いてしまった自分の無力さを思い知る。


下を向いたまま、ぽたぽたと涙が溢れ出ていく。


「おっ、起きた」

すぐそばにいたのであろう、チンピラみたいな軽薄そうな細身の男が、私の髪をつかんで無理やり顔を上げる。

「泣いてる〜」

「可哀想に」

「お前が腹パンするからじゃん」

「お前だってビンタしてただろ?」

私の近くにいるのは三人。
ホテルで攫った男たちではなく、車で待機していたやつらだ。

同じような軽薄そうな顔を三つ並べて、ニヤニヤとこちらを見ている。

「…だんご三兄弟」

「あ?」

私の小さなつぶやきを、髪をつかんでいた男は聞き逃さない。

「なんだって?」

「─────みんなおんなじような顔で、ゲス顔のだんご三兄弟だって言ったの!」