その後のことは、よく覚えていない。
ただ言えることは、ローランのことをずっと考えていたということ。

詳しいことは、よくわからないが、私は彼の役にたちたい。もし、何もできなくても、彼を支えてあげたい。

って、私に思われるなんて、ローランも嫌よね。

はあっ
あまり呪いについて聞くかれるのも不愉快だろうし、これからどうすればいいのかな。

あっ!!!いいこと思い付いた!!

────────
「マドリード、何をしているの??」

庭園で花を摘んでいる私を見たら、誰もが不審に感じるだろう。
「ふふ、秘密よ、ミーア。」

「え、でも、そんなことしていいの??」

「きっと大丈夫よ。」

───────「カトリーヌ様っ!!」

「あら、なあに。マドリード。」

今日もカトリーヌ様はおしとやかな淑女でいらっしゃる。

「あの、王様にこれをお渡しして頂けないでしょうか。」

手渡したのは、色とりどりの花を乾燥させて、しおりにした物。

「あらまあ、何て可愛らしい。でも、私から渡すことはできないわ。きっと、貴方からもらった方が喜ぶわよ。」

「そうですか。出すぎたことをしました。」

「ところで、どうして、これを!?」

「あの、の、呪いのことについてお聞きしてしまって…。」

「あら、そうなのね。貴方には、お世話になっているし、昔話をしましょうか。」
と、複雑そうな表情を浮かべ、真実を語り始めた。

「……。そうですか。そんなことが。けれど、王様には何の罪もないのに!!」

嘆き悲しむ私に、

「でもね、一つだけあるのよ。条件が。」
体制を変え、張り巡らされた窓から見える、青空を見たカトリーヌ様。
「え?」

「これはほんの一部の人間しか知らないことなんだけど、肩に蓮のアザのある女性がいるらしいのよ。その人を見つけ、結婚し、愛し抜くこと。」

紡がれた言葉に、驚きが隠せない。「ならば、王様はその者と結婚なさるのですか?」

すると、カトリーヌ様は首を左右に振って、
「それが、まだ見つかっていないの。長年の歴史を越え語り継がれてきたこの呪いを、終わらせる使命を持っているのに、皮肉なことよね。」

「そんな、…。」

「それに、もし見つかったとしても、ローランは幸せになれる?この国の王に生まれた宿命ならば、政略結婚など当たり前のこと。しかし、あの子のことを考えれば、そうすることが一番なのかしら。」

感慨深く、白い息が吐き出された。

「…………。」

私は、そのお姿を見て、何も言葉を返すことができなかった。