「これで月極めの画像ソフトの元も十分取れたし…。授業料も安かったし。あなたに迷惑をかけなくてよかったわ」
「へえ、どこで授業を受けたの」
「いや、ネットで探した人に…。仕事を探している最中だから、安くてもいいって」
「どれだけ払ったの」
「1600円で2時間」
「ふうん。それは安いね」
 俊介が言うと、彩香はちょっと慌てた。
「つい、これができると15万円もらえることになっているんです、って口を滑らしちゃったの。あ、しまった、と思ったわ。もちろん私の本名も何も言わなかったけど」
 俊介は顔を上げた。
「その人は男?」
「女の人。ちょっと悪いことをしたかな、とは思ったの。その人、『私もそんな友人が欲しいです』って恨めしそうに言ってたわ」
 俊介はしばらくステーキに戻って食べることに集中した。
「まあ何もないだろうさ、心配しなくても」
「…」
「それにだ、人間ってのは悔しい思いをすると発奮するものさ。きっとその女の人は何とかしようと頑張ってるだろう」
「ふう…」彩香は視線をそらして言った。「私、悪いことをしたのかなあ」
「さあ」
 俊介は否定しなかった。そのことに彩香は少し苛立ちを感じた。