それからの数日間、祐子からここを手直ししてとの指示が来て、彩香が編集し直す、という手続きを何度か繰り返し、サイズの違うものやレイアウトの違うものも何種類か作った。それが終わると残りの二種類のアニマルの画像も同様のサイクルを繰り返した。
 祐子が見本市や得意先訪問などに出張するたびに連絡が中断するが、その間にも彩香は制作を進めた。
「あまり遅くならないように」
 ふと気がつくと夜遅くなり、俊介が眠そうに彼女に促すこともあった。彩香は慌ててファイルを保存してラップトップの前から立ちあがるのだった。

 祐子が最初に話を持って来てから三週間後、全ての画像ファイルが完成した。祐子は電話で感謝の意を述べた。
「ありがとう、彩香。画像ファイルはウェッブデザイナーに渡してまず、ウェッブ用に使うわ。あと、商品POPにも使うし…。本当に助かりました」
「どういたしまして」
「明日、銀行振込します。口座の情報は郵送してもらっていたのでいいのね?」
「ええ」
「それでは明日、必ず。で、次もお願いしていいのね」
「えっ、本当?」
「時間は取れるよね」
「ええ、もちろん。でも、本当にすごい…。私のでよかったのね」